フリーランスや自営業の保活で会社員と違うのは、主に2つ。事業主として証明を自分で書くことと、働いている実態を書類で示すことです。
点数は自治体しだいで、週5日、1日8時間なら世田谷区と練馬区、藤沢市は会社員と同じ点。仙台市は自宅で働くと1点、吹田市は開業届などを出したうえで2点低くなります。差がつくかどうかは、お住まいの表を開くまで分かりません。2027年4月入園の案内を読み比べると、書類が足りないときの開きは、その点の差よりずっと大きくなります。
会社員と自営を証明、書類、点数、入園後の4か所で比べ、書類不足の点と窓口で聞くことを添えた図作成: 編集部 / 出典: こども家庭庁、世田谷区、藤沢市、仙台市、吹田市、練馬区、横浜市
点は保護者1人分で、物差しは自治体ごとに違います。だから世田谷区の50点と藤沢市の10点は比べられません。見るのは同じ行の左右。ひとり親の家庭は足し方が別ですが、書類の話はそのままです。
事業主なら、証明を書くのは自分
会社員の就労証明書は勤め先に頼む書類で、頼む時期は4月入園の保活の段取りでご覧いただけます。自営なら、その「勤め先」は自分です。
横浜市の案内は「個人事業主の方の場合は代表者が記入します」、吹田市は「保護者が代表者の場合、自身で作成してください」。家業を手伝う人は別で、世田谷区は親族が代表者なら「代表者等または別の担当者が作成してください」としています。藤沢市も「事業主の方が発行してください」です。
様式は、会社員と同じものが基本。こども家庭庁が示す標準的な様式には「雇用の形態」の欄があり、「自営業主」「自営業専従者」「家族従業者」「内職」「業務委託」から選べます。1つまり、自営の人が書くことも最初から想定された書類なのです。
とはいえ、会社名がないと最初の欄から迷いますよね。国の記載要領と横浜市のよくある問い合わせから、迷いやすい欄の答えが分かります。
- 事業所名は、確定申告で使う屋号。なければ、仕事で広く使っている名称か個人名
- 代表者名は、事業主の氏名(自分が事業主なら自分)
- 働く場所が決まっていないなら、本人就労先の住所は自宅など主に働いている所
- 事業主と生計が同じ親族で、無給で手伝っているなら、雇用の形態は「家族従業者」
ただし、別の書類を使う自治体もあります。仙台市の自営業の人が出すのは「保育を必要とすることの申告書(証明書)」で、就労証明書を出すのは法人に当たる自営業者だけ。藤沢市は就労証明書に「就労状況説明書」が加わります。
添える書類は、働き方の型で変わる
| 働き方 |
添える書類の例 |
確認すること |
| 個人事業主 |
確定申告書の控え、開業届、営業許可証 |
何を何点出すか |
| 業務委託 |
業務委託契約書、納品書、請求書 |
証明は自分か発注元か |
| 開業したばかり |
開業届、営業許可証、報酬明細 |
申告の前は何で示すか |
| 家業の手伝い |
事業主の確定申告書、本人の源泉徴収票 |
だれが証明するか。無給でも就労に入るか |
| 会社員と掛け持ち |
仕事ごとの就労証明書と自営の書類 |
時間を合算できるか |
例はどれも世田谷区、練馬区、藤沢市の案内にあるものです。何点要るかは自治体で違い、藤沢市のように3種類すべてを求めるところもあります。世田谷区は、屋号と代表者名、事業内容が分かるホームページの画面でも1点に数えます(URLだけでは不可)。
仙台市は2026年度の利用分から、申告書に加えて実態の分かる書類も求めています。直近3か月の帳簿か、利用開始希望日から6か月以内の請求書、納品書、請負契約書など1点以上で、帳簿の作成例は市のサイトにあります。
業務委託は、ここで挙げた案内ではどれも自営の側です。世田谷区の表は「自営(業務委託契約含む)」で、吹田市は業務委託を「自営業中心者」に分けます。迷うとしたら、証明をだれが書くかでしょう。練馬区は業務委託で証明者が本人のときに自営の書類を付けるよう求めていて、発注元が証明する形もあると読めます。窓口で聞いておくと確実です。
開業したばかりで確定申告の控えがなくても、道はあります。藤沢市なら、就労証明書に書いた直近3か月について、収入があることか事業を始めたことが分かる書類で代えられます。開業届や営業許可証、報酬明細の写しなど。仙台市は開業から3か月以内なら開業届や営業許可書でもかまいません。世田谷区の開業届は、収受印があるものか、e-Taxの証明があるものです。
練馬区はまず確定申告書の控え、出せなければ2026年度中の申し込みなら2025年4月1日以降の開業届など。それより古い開業届なら、収入が分かる契約書や請求書も一緒に出します。
これから開業する人は、点の行が変わる自治体があります。世田谷区は開業予定日が入園月の2日以降だと「就労内定(開業予定)」の行に入り、週5日、週40時間の予定でも50点ではなく30点で、この行の利用期間は1か月以内です。練馬区も起業の準備は就労(内定)の行で、月20日以上、1日8時間以上なら40点でなく27点。どの行に入るかは窓口で聞けます。
家業の手伝いは、行の分かれ目が細かい働き方です。吹田市は親族の個人事業で働き、専門資格の資料を出さなければ協力者の32点。同じ親族の勤務先でも、法人なら雇用型の40点です。仙台市は事業主9点、専従者8点で、保護者2人が同じ事業を営むと1人は専従者とみなされます。
本人が確定申告をしていないときは、どう示せばよいのでしょう。藤沢市なら、事業主の確定申告書第二表や収支内訳書などです。世田谷区は3親等内の親族が代表者なら自営扱いで、事業の実態が分かる資料が要ります。仙台市なら「事業主からの申立書」も使えます。
会社員と掛け持ちなら、書類は仕事ごとにそろえます。世田谷区は外勤週3日と自営週2日のような働き方で日数と時間を合算しますが、それぞれの就労証明書と自営の資料がなければ合算しません。仙台市も合算できる場合があります。
点数は同じ自治体も、違う自治体もある
働く時間の条件は、会社員と変わりません。こども家庭庁の案内は就労の中に「居宅内の労働」を挙げ、働く時間の下限は原則として月48〜64時間の範囲で市町村が決めます。2分かれるのは定員を超えたときの順番を決める、点数の表です。
週5日、1日8時間(休憩1時間を含む)で比べた点です。
| 自治体 |
同じ時間の点 |
自営の扱い |
| 世田谷区 |
外勤も自営も50 |
外勤と同じ行 |
| 練馬区 |
会社員も自営も40 |
就労の表は1つ |
| 藤沢市 |
会社員も自営も10 |
就労の表は1つ |
| 仙台市 |
被雇用者10、事業主9、専従者8 |
自宅と別の事業所か外勤で1点足す |
| 吹田市 |
雇用型40、中心者36、協力者32 |
書類で4点足し、自宅なら2点引く |
差がある2市でも、開きがそのまま残るとは限りません。仙台市の事業主は、事業所が自宅と同じ敷地や隣でなければ1点足して10点になり、会社員と並びます。吹田市の中心者も、開業届や営業許可証、業務の資格証などを出すと4点足して、合計は雇用型と同じ40点。足すのは調整の点なので、同点のときに基本の点を比べる段階では36点のままです。自宅が拠点だと、さらに2点引かれて38点。
1点や2点の差は、希望が重なる園では順番に響くはずです。仙台市は指数の合計が高い子から案内する仕組みだからです。ただ、働く場所は点のために変えるものではありません。そろえられるのは書類のほうです。
いちばん開くのは、書類が足りないときです。
藤沢市は必要書類がないと、求職中の点で審査します。10点が3点に。練馬区は提出がなければ求職と同じ10点で、月20日以上、1日8時間以上の40点と30点も開きます。吹田市には、事由の証明書がないとき基本の点から40点を引ける、という定めもあります。
働く時間は、実績で裏付ける
雇用契約がない分、働く時間は自分の実態から示すことになります。様式には決まった時間で働く人の欄と、日によって変わる人の欄があり、後者には想定される最も標準的な時間帯を入れます。その下の就労実績は直近3か月の日数と時間で、実績がまだない人は今後の見込みです。
月によって波があるときは、どうすればよいでしょう。仙台市は不規則な就労時間の平均を基本とし、世田谷区は直近3か月分のスケジュール表を求めます。
厄介なのは、同じ1時間の数え方が自治体で逆なこと。世田谷区は自営の就労時間に90分以内の休憩を含め、吹田市も点の計算では休憩を含みますが、仙台市と藤沢市は除きます。
自宅で働く人がいちばん迷う家事の時間は、練馬区の案内に「家事・育児にあたる時間は就労時間には含みません」とあります。
書いた時間に実績が届かないときの扱いも、見ておきたいところです。練馬区は直近3か月のうち、ひと月も契約上の日数と時間を満たしたと確認できなければ、実績に基づいて点を計算します。藤沢市も、特別な理由なく実績を確認できないと就労内定として扱うことがあります。
だから、日ごとの開始と終了を手帳やカレンダーに残しておくと、あとが楽です。3か月分の欄をそのまま埋められます。
入園のあとも、働いている確認は続く
入園後の確認は会社員にもあります。自営で違うのは、収入の分かる書類まで見る自治体があること。
世田谷区の案内には「申込時の申請内容を常態として入園選考を行う」とあり、同じ状況が続かないと入園取消や退園になる場合があります。自営の人には、提出した就労証明書の日数と時間で働くよう求めています。
練馬区は入園後の現況調査で、長期にわたって収入の分かる書類を出せないと就労と認められず、退園になることがあります。仙台市も、利用開始後に証明書類を出す決まりです。
でも、仕事の波は自営にはつきものです。受注が減った、しばらく休むことにした。そんなときは次の書類の時期を待たず、窓口に相談しておくと話が早いでしょう。仙台市は変更があれば直ちに連絡するよう求め、連絡がなかった場合も取り消しの対象に挙げています。
書類に入れるのは、実際に働いている日数と時間です。藤沢市の申込書にも、虚偽があれば内定の取り消しや退園になる場合があることの確認欄があります。
申し込む前に市区町村で確認すること
2027年4月入園の申し込みは、一次を過ぎても終わりではありません。5つの自治体のどれにも二次があり、締め切りは世田谷区が郵送と電子申請で2027年1月27日、窓口で2月1日。練馬区は2月19日、仙台市は2月2日、藤沢市は2月8日、吹田市は1月12日から受け付けて2月5日までです。
ただ、二次の枠は少なめです。仙台市は「例年、各施設0人~若干名の受け入れ」と案内し、練馬区は一次のあとに欠員があったときに二次の調整をします。一次の締め切りは練馬区が2026年11月6日、世田谷区の窓口が11月10日、仙台市が12月3日。5月以降の途中入園にも、毎月の締め切りがあります。
書類の一部が締め切りに間に合わないときの扱いは、自治体で分かれます。世田谷区は一次の締め切りまでに申込書類を出した人に限り11月24日まで受け付ける場合があり、練馬区の一次の不足書類は12月4日まで。一方、仙台市は「申込締切日までに書類が不足している場合は受付できません」としています。
5月以降の入園で確定申告書を出すなら、申告の期限はこの冬の手続きのカレンダーでご確認いただけます。
世田谷区のように、選考の前に家庭ごとの点は答えられないとする自治体もあります。だから窓口で聞くなら、点そのものより、何を出せばどの行で見てもらえるか。
お迎えの時刻が日によって変わる働き方なら、園に聞いておきたいことも保育園と幼稚園、認定こども園の違いで合わせてお読みいただけます。
点数表を開いたら、就労の行が1つか、働き方で分かれているかを最初に見ます。世田谷区のように「自営」の語があっても行が同じなら、基本の点は会社員と同じ。分かれていれば、自分がどの行に入るかと足し引きの条件を確認します。そのうえで差がつくのは、加点と書類です。
この記事の制度と点数は、2026年11月5日に各機関の公式サイトで確認した2027年4月入園の案内によるものです。世田谷区の掛け持ちや休憩の扱いは、2025年9月1日更新のよくある質問のページによります。