育休中の平日の午前、家で0歳の子と二人きりの時間が続くと、「この子にも、ほかの子と遊ぶ時間があったら」と思うことはありませんか。そんなときに使えるのが、こども誰でも通園制度です。保育園などに通っていない0歳6か月から3歳になる前の子なら、親が働いているかどうかにかかわらず、月10時間まで保育所などに通えます。
こども家庭庁によると、2025年度に一部の自治体で制度として始まったこの仕組みは、2026年度から子ども・子育て支援法にもとづく新しい給付になり、全国の自治体で実施されます。利用料の標準は1時間300円程度。ただ、時間の上限や申し込みの方法には、自治体ごとの違いがあります。
使える家庭と、対象にならない子
対象になるのは、0歳6か月から満3歳未満で、保育所などに在籍していない子です。満3歳未満というのは、3歳の誕生日の前々日まで。使えるかどうかの認定は、保護者が住んでいる市町村の役目です。
在籍していると対象外になる施設は、保育所、認定こども園、小規模保育などの地域型保育、企業主導型保育施設の4つ。逆に、認可外保育施設に通っている子なら対象です。一時預かりを使っている子や、児童発達支援などの通所給付を受けている子も、条件を満たせば使えます。
親の仕事の有無も、利用の理由も問われません。たとえば、こんな家庭が使えます。
- 育休中で、子どもは家で過ごしている
- 保育園の入園を待っている、または保活中
- 在宅の仕事や短い時間の仕事で、子どもは家族が見ている
- 里帰り出産の間、上の子を実家の近くで通わせたい
最後の例は、こども家庭庁の手引が「柔軟利用」の使い方として挙げているものです。里帰り先が別の市町村でもかまいません。申請は住民票のある市町村で行い、予約は里帰り先の施設に入れられます。
ただ、共働きで保育園に入れていない家庭だと、月10時間では仕事の時間をまかなえません。保育園の代わりではなく、子どもが家の外で過ごす時間を少しずつ作る制度。そう考えると、使いどころが見えてきます。4月入園に向けた申し込みの段取りは、秋から始める保活の記事で詳しく説明しています。
一時預かりや保育園と、ねらいが違う
3つとも園で子どもを見てもらう仕組みですが、だれのための時間かが違います。こども家庭庁の手引によると、一時預かりは「保護者の立場からの必要性」に応えるもので、誰でも通園の主な目的は「こどもの育ちを応援する」ことです。
保育園など、こども誰でも通園制度、一時預かりの違いと、誰でも通園の利用料作成: 編集部 / 出典: こども家庭庁
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保育園など |
こども誰でも通園制度 |
一時預かり |
| 親の理由 |
就労などの要件がある |
要らない |
就労や病気など保護者の理由が要る |
| 時間 |
日々の保育 |
1人月10時間まで |
上限の決め方は市町村ごとにさまざま |
| 仕組み |
給付 |
給付(2026年4月から) |
市町村の判断で行う事業(2023年度は1,269自治体) |
意外だったのは、手引が「保護者の都合のみで一時的に用事先近辺の事業所に預ける等の利用」を、子どもの育ちに沿った使い方とは言えない、と書いていることでした。美容院や役所の手続きの間だけ預けたいなら、まず一時預かりを、という整理です。
もっとも、どちらか一方しか使えないわけではありません。それぞれの目的に合うと自治体が判断すれば、同じ日に誰でも通園と一時預かりを続けて使うこともできるのです。
こども家庭庁の利用者向けリーフレットが挙げる良さは、家庭とは違う経験や、家族以外の人と関わる機会、年齢の近い子との関わり。保護者にとっても、専門の知識を持つ人と関わることで孤立感や不安がやわらぎ、月に少しでも子どもと離れる時間が育児の負担感を軽くする、と説明しています。
月10時間の使い方と利用料
使えるのは1時間からで、そのあとは30分単位。予約の枠は毎時0分と30分で区切られていて、日中の利用が想定されています。月10時間なら、2時間を5回でも、2時間半を4回でもかまいません。
通い方の型は2つ。同じ施設に決まった曜日や時間で通う「定期利用」と、施設や日を決めずに使う「柔軟利用」です。手引によると、定期利用だと子どもが場や人に慣れやすく、柔軟利用なら遊びの環境が違う複数の施設を試せます。最初は柔軟利用でいくつか回り、合う施設が見つかったら通う先を絞る、という組み合わせ方も手引にありました。
利用料の額を決めるのは事業所。保護者の同意を得ることが前提です。国が示す標準は1時間300円程度ですが、全国一律ではありません。これとは別に、給食代や食材料費、通園バス代、文房具代などの実費を払うこともあるでしょう。どちらも事前に書面で示し、説明して同意を得る決まりです。
所得の少ない世帯では、利用料が減額されることもあります。生活保護世帯や、市町村民税の所得割が一定より少ない世帯などの利用料を事業所が減らすと、給付費に加算がつく仕組みがあるからです。
食事が出るか、お弁当を持っていくかは事業所しだい。慣れるまで親子で一緒に過ごす「親子通園」を取り入れる施設もありますが、手引によると、親子通園を利用の条件にするのは適当ではありません。リトミックや英語、スイミングのような習いごとの形にすることも、適切ではないとされています。
自治体や事業所で違うところ
制度の骨組みは全国共通。それでも実際の使い勝手は、住んでいる地域で変わります。
| 項目 |
全国で同じ |
自治体や事業所で違う |
| 対象年齢 |
0歳6か月から3歳の誕生日の前々日まで。市町村は変えられない |
なし |
| 時間の上限 |
1人月10時間 |
2026・27年度は条例で3〜10時間未満にできる。独自の上乗せもある |
| 利用料 |
標準は1時間300円程度 |
実際の額、減額の有無、実費 |
| 申し込み |
市町村の認定、施設との事前面談、予約の順 |
認定を申請する窓口や方法 |
| 施設 |
ほかの市町村の施設も使える |
どの施設が実施するか、曜日や時間帯 |
表でまず見たいのが、時間の上限の行です。2026・27年度は経過措置として、月10時間での実施が難しい市町村が、条例で3時間から10時間未満の範囲に設定できます。逆に、市町村が自分の負担で10時間を超えて使えるようにすることもあります。同じ制度なのに、住む場所で使える時間が違うかもしれないのです。
施設の種類も幅広く、保育所、幼稚園、認定こども園のほか、小規模保育事業所、家庭的保育事業所、地域子育て支援拠点、児童発達支援センターなどがあります。2026年度からは、ほかの市町村に住む人の利用を、市町村が断ることもできなくなりました。職場の近くや実家の近くの施設も、候補に入れられます。
全国の市町村がどんな体制で始めたのか、経過措置を使った市町村がいくつあるのか。この2点はこども家庭庁の公開資料では確認できませんでした。住んでいる地域の様子は、次の手順の最初で分かります。
使い始めるまでの手順
申し込みから予約までは、こども家庭庁が作った「つうえんポータル」で進めるのが原則です。入口で都道府県などを選べば、住んでいる地域で使えるかどうかが分かるようになっています。
- つうえんポータルで、住んでいる地域で使えるかを確かめる
- 市町村が指定する方法(窓口、マイナポータル、つうえんポータル、市町村のオンラインサービスなど)で、認定を申請する
- 認定されたら、メールで届くログインIDでつうえんポータルに入り、画面で認定証を見る
- アレルギーなど、施設を使うのに必要な子どもの情報を入力する
- 施設を探し、事前面談を申し込む
- 施設で事前面談を受ける(原則は対面)
- 面談を終えた施設の空きを見て、利用を予約する
- 当日は登園と降園のときに、施設の職員が見せる二次元コードを読み取る
利用の前日には、確認のメールが自動で届きます。初めて使ったあとの事後面談では、施設でどう過ごしたかを教えてもらえます。複数の施設を使いたいときは、施設ごとに事前面談と利用の契約が必要です。
月10時間は週にならすと2時間あまり。それでも、家の外に「いつもの場所」と「いつもの先生」ができることは、子どもにも親にも小さくない変化のはずです。育休中なら、復職の予定より前に一度、つうえんポータルで住んでいる地域を選んでみるところから始められます。
この記事は、2026年10月30日にこども家庭庁の資料(手引の令和8年3月改訂版、令和8年度Q&A第2版、基礎資料集など)で確認した、2026年度の制度の内容です。施設や時間、申し込みの方法は、お住まいの市町村の案内で確認してください。