4月入園の申し込みは、秋の1か月ほどが勝負です。編集部で5つの自治体の2027年4月入園の案内を読み比べると、一次の受付は10月1日から16日のあいだに始まり、締め切りは早い板橋区で10月23日、遅い名古屋市で12月10日でした。日程も点数の決まりも市区町村で違うので、全国で同じ仕組みを先に押さえてから、お住まいの自治体の利用案内を開くと迷いが減ります。
全国で同じ仕組みと、市区町村で違う決まり
保育園に入るには、まず市区町村から「保育の必要性」の認定を受けます。子ども・子育て支援新制度の仕組みで、認定は子どもの年齢と、保育が要るかどうかで3つに分かれます。
| 認定 |
対象の子 |
主な行き先 |
| 1号 |
3歳以上で保育の必要性なし |
幼稚園、認定こども園 |
| 2号 |
3歳以上で保育の必要性あり |
保育所、認定こども園 |
| 3号 |
3歳未満で保育の必要性あり |
保育所、認定こども園、小規模保育など |
0〜2歳で入るなら3号、3歳から入るなら2号です。共働きでも、幼稚園の教育を選ぶなら1号になります。
2号と3号には、預けられる時間の枠も付きます。フルタイムを想定した「保育標準時間」は最長11時間、パートタイムを想定した「保育短時間」は最長8時間。どれだけ働けば認定を受けられるかの下限は、原則として月48〜64時間のあいだで市町村が決めます1。名古屋市なら「月64時間以上」です。
ただ、11時間の数え方は見落としやすいかもしれません。標準時間でも、好きな時刻から11時間使えるわけではないのです。こども家庭庁のよくある質問に、こんな例があります。7時30分から18時30分までが通常の保育時間の園に、8時から預けるとしましょう。追加の料金なしで預けられるのは18時30分まで。19時まで預ければ、最後の30分は延長保育です。
ここまでは全国共通。一方で、次の項目は市区町村ごとに違います。
「点数で決まる」の中身
定員より申し込みが多い園では、市町村が順番をつけて入る人を決めます。これが利用調整で、こども家庭庁は「市町村が定める基準に基づき、保護者の状況などに応じ保育の必要性などから優先順位をつけ」る仕組みと説明しています。ひとり親の家庭や、生活保護を受けている世帯、家計を支える人が仕事を失ったとき、子どもに障害があるときなどは、優先されることがあります。
いわゆる点数は、この基準を数字にしたものです。呼び方も中身も、自治体ごとにばらばら。横浜市は点数ではなくA〜Iの「ランク」で分け、同じランクの中を調整指数で並べます。しかも両親のランクが違うときは、低いほうを使う決まりです。つまり、パートナーの働き方も家庭の順番を左右します。だから就労証明書は、2人分をそろえるつもりで動くと確実です。
選考の進め方も、案内を読むと見えてきます。板橋区の案内には「入所選考は先着順や抽選ではありません」とあり、希望園の書き方で有利や不利が出ることもないそうです。名古屋市の場合、選考にかけられるのは希望の欄に書いた施設だけ。通える施設をできるだけ書いておくほうが、入れる見込みは広がります。前の年の一次で何点の人まで入れたかを示す「ボーダー表」を、名古屋市のように公開している自治体もあります。
いつの状況で判断されるかも、見ておきたいところです。横浜市の4月一次なら、基準日は前の年の9月末。10月に復職や転職をしても、一次の判断には入らないかもしれません。
育休を延ばすかもしれない家庭に、もう1つ知っておいてほしい変更があります。保育所に入れなかったことを理由に育児休業給付の期間を延ばすには、2025年4月から、すぐに職場へ戻るための申し込みだと認められなければなりません。延長を申請するときは、保育所の申込書の写しと、保留の通知などを付けます。
申込書の書き方で迷うのが、この延長との関係でしょう。横浜市の申込書には、保留になったら育休の延長を許容できるかを選ぶ欄があります。選ぶとランクは下がりますが、チェックを付けたこと自体は給付の審査に影響しない、と市は厚生労働省に確認したうえで案内しています。ただ、ほかの理由で延長が認められない場合はあるそうです。職場の側の手続きは、別の記事で扱います。
就労証明書は、勤め先に作ってもらう書類
書類の中で、いちばん時間がかかりがちなのが就労証明書です。保護者ではなく勤め先が作る書類で、板橋区の案内は、勤め先に無断で作ったり書き換えたりすると「刑法上の罪に問われる場合があります」と注意しています。
様式は全国でそろってきました。こども家庭庁が「標準的な様式」を示し、2025年度の利用調整から原則としてこの様式を使う決まりです2。どの曜日に何時から何時まで働くか、育休はいつまでで、いつ仕事に戻る予定か、短い時間で働く制度を使うかどうか。そこに「入所内定時育休短縮可否」「育休延長可否」の欄も加わり、育休を早めに切り上げられるかを勤め先にも書いてもらいます。
頼むのは、案内が配られたらすぐ。板橋区は、利用の手引きより早い8月26日から2027年度用の就労証明書を配り始めました。古い様式で頼んでしまっても、締め切りから3か月以内の証明なら受け付けるとしています。
オンラインで申し込む自治体も増えました。横浜市は原則としてマイナンバーカードを使うオンライン申請で、署名用電子証明書の期限が切れていると申請できません。暗証番号と有効期限は、申し込む前の週末に確認しておくと慌てずに済みます。
見学では、毎日の送り迎えを思い浮かべる
見学の扱いも自治体で違います。たとえば名古屋市南区は子どもと一緒に見学するよう呼びかけ、さいたま市は申し込むと第1希望の施設で面接があります。全国の園の定員や実費の額は、こども家庭庁の「ここdeサーチ」で調べられます。
見学では、パンフレットに載りにくいところを見ておくと、入園してからの暮らしが浮かびます。
- 家から園、園から駅までの道(雨の日や自転車のとき)
- 延長保育の時間と料金、お迎えが遅れるときの連絡の仕方
- 保育中に熱が出たときの連絡と、お迎えまでの過ごし方
- 慣らし保育の期間と、最初の週のお迎えの時刻
- 毎日の持ち物(おむつ、着替え、布団など)
熱が出た日の備えは、入園前に決めておくとあとが楽です。病児保育やファミリー・サポート・センターの使い分けは、子どもの急な発熱で休めない日の備えで比べました。
申し込みから4月までの段取り
4月入園の保活の流れと、5つの自治体の一次の受付と結果の時期作成: 編集部 / 出典: こども家庭庁、板橋区・横浜市・さいたま市・杉並区・名古屋市
日程は自治体ごとに違っても、流れはほぼ同じです。
- 利用案内を手に入れて、申し込みの期間と基準日に印を付ける(9月〜10月上旬)
- 保護者それぞれの就労証明書を、勤め先に頼む(案内が出たらすぐ)
- 園を見学し、通える園を希望順に並べる(10月)
- 一次の締め切りまでに申し込む
- 希望園の追加や不足の書類を、自治体の期限までに出す
- 結果が届く(1月中旬〜2月上旬)
- 内定したら園と面談や健康診断の日を決め、保留なら二次に申し込む
一次の受付と結果の時期を、5つの自治体で並べました。
| 自治体 |
一次の受付 |
結果の時期 |
| 板橋区 |
10月1日〜10月23日 |
2月5日に通知 |
| 横浜市 |
10月1日〜10月28日 |
1月下旬までに通知 |
| さいたま市 |
10月16日〜10月30日 |
2月3日から問い合わせ可 |
| 杉並区 |
10月1日〜11月30日 |
1月15日に区のサイトで公表 |
| 名古屋市 |
10月15日〜12月10日 |
利用案内で確認 |
読み比べて意外だったのは、同じ首都圏でも一次の締め切りが1か月以上ずれることでした。10月の終わりには、板橋区と横浜市の一次はもう締め切りを過ぎています。では、締め切りを過ぎたら4月はあきらめるしかないのでしょうか。そうとも限りません。横浜市は12月23日から2月2日まで、板橋区は10月26日から2月12日まで二次を受け付けます。
細かな違いもあります。杉並区がサイトで公表するのは電子申請の分で、結果は申し込んだ全員に郵送。名古屋市はオンラインの締め切りが11月26日で、窓口より2週間ほど早く来ます。
秋の保活で家庭が決められるのは、どの園を書くかと、いつまでに書類をそろえるかの2つです。点数そのものは変えにくくても、締め切りの見落としや書類の不備で順番を落とすことは防げます。利用案内を手に入れたら、まず締め切りの日付を家族の予定表に書き込むところから始めてみてください。
この記事の制度と日程は、2026年10月30日に各機関の公式サイトで確認したものです。日程は2027年4月入園の分です。