2025年12月、世帯主が30代の家庭(二人以上の世帯)がおもちゃに使ったお金は、1世帯あたり平均5,763円でした。総務省の家計調査の数字で、1〜11月の平均のおよそ2.3倍です。それでも、何歳に何をいくらで贈るかの答えは、この平均より、その子に今どんな遊びが増えているかと、家のどこにしまうかの中にあります。
ごっこ遊びに夢中な4歳も、はさみで紙を切り続けたい4歳もいますが、喜ぶ物は同じではありません。年齢を手がかりにするなら、見るところは「その年に何が人気か」より、「その年ごろに増えやすい遊び」と「その年ごろに気をつけたい物」です。
サンタクロースから届けるか、家族から手渡すか、両方か。形は家庭ごとに違っても、選ぶ順番はそろえられます。
選ぶ前に、家で決める4つの手順
品名から探し始めると、比べる軸がきりなく増えます。先に家の都合で枠を作っておくと、候補はぐっと減ります。
- 予算の上限を決める。
- 遊ぶ場所としまう場所を決める。
- 箱の表示と中身で、安全を確認する。
- 本人の希望を聞く。
希望を最後に置くと、聞いたあとで「置けない」「まだ危ない」と断る場面が減ります。枠を先に決めておけば、子どもの希望はその中でどう叶えるかの相談になります。
順番は目安ですが、小学生で欲しい物がはっきりしているなら、4を先に聞いても構いません。そのときは1〜3を、希望を受け止めたうえでの合わせ方として使います。手紙で聞くか、会話の中で聞くかも、サンタの扱いと同じく家庭ごとに決めてよいところです。
年齢ごとに増えていく遊び
箱に書かれた対象年齢は、発達の目安というより、安全のための線引きとして読むほうが実態に近いでしょう。こども家庭庁の事故防止ハンドブックによると、STマーク付きのおもちゃでは、対象年齢の低いものほど、喉に詰まらない大きさや部品の外れにくさに配慮した作りです。
では、遊びの育ちは何で見ればよいのでしょう。手元で頼りになるのが、母子健康手帳の「保護者の記録」のページです。月齢や年齢ごとに、家で答える問いが並んでいます。
- 6〜7か月ごろ「からだのそばにあるおもちゃに手をのばしてつかみますか」
- 2歳「積木で塔のようなものを作ったり、横に並べて電車などにみたてたりして遊ぶことをしますか」
- 3歳「ままごと、ヒーローごっこなど、ごっこ遊びができますか」
- 5歳「ジャンケンの勝ち負けがわかりますか」
- 6歳「約束やルールを守って遊べますか」
順に読むと、つかむ、見立てる、なりきる、ルールで遊ぶ、と遊び方が移っていくのが見えてきます。保育所保育指針にも、1歳から3歳未満の時期に「つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し」、3歳以上では「集団的な遊びや協同的な活動も見られるようになる」とあります。
贈り物の候補は、今いちばん増えている遊びを、もう少し長く続けられる物から探すと外れにくいでしょう。積み木を電車に見立てている子なら、つなげて長くできる物。ごっこが始まった子なら、なりきるための衣装や小物。
ただし、手帳の問いは、できる・できないを試す表ではありません。同じ年齢でも育ちには幅があり、手帳にも、気になることがあれば医師や保健師に相談するよう添えてあります。
年齢ごとの遊びの育ちと、安全で見るところ、しまう場所を1枚の図にまとめました。目盛りの上の札が手帳の問いとスマホの持ち方の調査、下の帯が気をつけたい年齢の幅です。
年齢ごとに増える遊びと気をつけたい年齢の幅、しまう高さ、12月のおもちゃ代を1枚に作成: 編集部 / 出典: こども家庭庁・経済産業省・総務省統計局などの資料をもとに作成
3歳未満は口に入る大きさから見る
9〜10か月ごろの問いには「指で、小さい物をつまみますか」とあり、すぐ下に、たばこや豆などの誤飲に気をつけるよう添えてあります。つまめるようになった日から、小さな物はおもちゃにも、危ない物にもなるわけです。
消費者庁によると、3歳児の口の大きさは直径約4cm。これより小さい物は口に入り、誤飲や窒息の危険があります。
おもちゃの側の決まりも変わりました。経済産業省は2025年12月25日から、3歳未満向けのおもちゃに国の技術基準と、対象年齢などの警告表示を義務づけています。満たした物には丸い「子供PSCマーク」が付き、マークのない3歳未満向けのおもちゃは販売できなくなりました。1
一方で、施行より前に作られた品にはマークがないので、店頭や中古品で見かけることはしばらく続きそうです。消費者庁が参考に挙げているのが、日本玩具協会のSTマークです。14歳未満向けのおもちゃのうち、第三者の検査機関で業界の安全基準に合格した物に付けられます。法律の義務ではありませんが、国民生活センターによると、基準にはボタン電池の収納部が簡単に開かないことも含まれます。
贈り主が祖父母や友人でも同じことです。消費者庁は贈る側と受け取る側の双方の大人が、年齢や発達に合った物かを確認するよう呼びかけています。受け取った側も、箱を開ける前に一度見ておくと安心です。
3〜5歳はごっこと見立てが広がる
4歳の問いには「はさみを上手に使えますか」と「友だちと、ごっこ遊びをしますか」が並びます。ひとりで黙々と作る遊びと、だれかと役を分ける遊びが、同じ時期に育っていくのです。
この年ごろの贈り物は、きょうだいや友だちと一緒に使えるかで選ぶのも一案でしょう。ただ、ごっこに使う小物や大きな積み木は、遊ぶたびに床へ広げる物。リビングのどこに広げて、どこへ戻すかまで決めておくと、出しっぱなしの日が減ります。
気をつけたいのは磁石です。国民生活センターには、強い磁石の小さな玉を複数飲み込んだ幼児が、胃や腸に穴があいて手術を受けた事故が寄せられました。2017年12月の3歳児の例は、クリスマスプレゼントとしてインターネットで買った品でした。
こうした事故を受けて、小さく強い磁石で遊ぶマグネットセットと、水で膨らむボールは、2023年に消費生活用製品安全法の規制対象になりました。2023年12月19日からは技術基準を満たし、PSCマークの付いた品しか売れません。とはいえ、それより前に買った品が家に残っていることはありえます。
磁石を中に入れたパズル型のおもちゃが割れて、出てきた磁石を飲み込んだ例もあります。国民生活センターはこのとき、遊ばせる前に破損がないかを見るよう勧めました。
小学生は、物と家のルールを一緒に渡す
6歳の問いにはもう一つ、「おもちゃやお菓子などをほしくても我慢できるようになりましたか」があります。欲しい物を言葉にし、約束を守って遊べるようになる時期。小学生への贈り物は、物と一緒に「どう使うか」を渡すと、あとが楽になります。
とくに迷いやすいのが、ゲーム機やタブレット、スマートフォンのように、インターネットにつながる物でしょう。こども家庭庁が2025年11〜12月に調べた結果では、保護者の回答で、6〜9歳の小学生の91.0%がインターネットを使っていました。ネットを使う10歳以上の小学生の使い道は、動画を見るのが88.8%、ゲームが85.5%です。
スマートフォンでネットを使う子のうち自分専用の割合は、保護者に聞いた9歳で49.0%でした。本人に聞いた10歳では66.4%、12歳では89.2%です。聞いた相手が違うので、そのまま比べることはできません。
家のルールには少し気になる数字があります。10歳以上の小学生の家庭で「ルールを決めている」と答えた割合は、保護者が88.4%、子ども本人が83.8%でした。親は決めたつもりでも、子どもには届いていない約束があるのかもしれません。
ずれを小さくしたいなら、渡すその日に、子どもと一緒にルールを紙に書き出す方法があります。何を決めるかは、ほかの家庭の取り組みも参考になります。スマートフォンでネットを使う10〜17歳の子の保護者が取り組んでいることでは、フィルタリングが49.2%、対象年齢に合ったサービスやアプリを使わせるが42.1%、使ってよい時間や場所を決めるが38.4%で上位でした。
12月のおもちゃ代は普段の月の2倍超
2025年の家計調査を世帯主の年齢別に見ると、12月のおもちゃ代は、30代から70歳以上まで、どの年代も1〜11月の平均の2倍を超えました。金額が大きいのは、18歳未満の家族が多い30代と40代です。2
| 世帯主の年齢 |
12月 |
1〜11月平均 |
| 30〜39歳 |
5,763円 |
2,461円 |
| 40〜49歳 |
4,420円 |
1,619円 |
| 50〜59歳 |
2,062円 |
718円 |
| 二人以上の世帯全体 |
1,957円 |
782円 |
増えたのは子育て世代だけではありません。50代も12月は2,062円で、普段の約2.9倍でした。この項目には、ほかの家に贈るために買った物も入るので、孫や親戚の子への贈り物も混ざっているのかもしれません。30代では12月の5,763円のうち2,282円がゲーム機とソフトなどで、ダウンロードのゲーム代やゲーム内の課金もここに入ります。
ただし、この数字はプレゼント代の相場ではありません。おもちゃを買わなかった家庭も含めた1世帯あたりの平均で、大人の分のゲーム代も入る一方、絵本や服、体験のような贈り物は入りません。子ども1人あたりに割り戻せる数字でもありません。
それでも、12月のおもちゃの出費が普段の月の2倍を超えることは確かです。いくらにするかは、次のうち家に当てはまるものを先に決めておくと見えてきます。
- 合計の上限。サンタからの分と家族からの分を、合わせていくらまでにするか
- きょうだいでそろえるもの。金額か、個数か、喜ぶ度合いか
- 祖父母からの分との分け方。大きな物を任せるか、品物を決めて頼むか
どれも決まった正解のない、家庭ごとの慣習です。きょうだいの年が離れていると、同じ金額でも、片方には大きすぎ、もう片方には物足りないこともあります。金額ではなく、開ける箱の数や、一緒に遊べる物を1つ足すことでそろえる家庭もあるでしょう。
祖父母に頼むときは、品物か大きさの目安を先に伝えておくと、届いてから置き場所に困ることが減ります。
届く前に、しまう場所を1つ空ける
新しいおもちゃが増える日は、置き場所の割り当てを見直す日でもあります。届いてから考えると、箱ごと部屋の隅に積まれがちです。
しまう高さは3つに分けると決めやすくなります。上の段は大人が出し入れする物。ボタン電池の予備、磁石を使うおもちゃ、上の子の小さな部品のおもちゃです。こども家庭庁のハンドブックも、年上の子のおもちゃは、下の子が対象年齢になるまで手の届かない所にしまうよう勧めています。中の段は子どもが自分で戻せる、今よく遊ぶ物。床は広げて遊ぶ場所です。
空ける1段分は、子どもと一緒に選ぶと納得が残ります。「もう遊ばない物」を親が決めるより、「どれなら小さい子にあげられる?」と聞くほうが、手放す理由を子ども自身が持てるからです。譲る相手への声のかけ方は、子ども服の衣替えとサイズアウトの文例も、言い回しはおもちゃに使えます。
届いた当日にやることは多くありません。消費者庁の呼びかけに沿うなら、渡す前に取扱いの注意を読み、破損がないかを見ます。あとは包装のフィルムや小さな袋を、その場で片づけるくらいです。
候補を挙げる、注文する、隠しておく、組み立てる、棚を空ける。プレゼントの準備は、名もなき家事の連なりでもあります。夫婦やパートナーで分けるなら、家事分担の話し合い方にあるように、途中の作業で区切らず、最初から最後まで1人が持つと抜けが出にくくなります。
棚を1段空けていると、去年よく遊んだ物と、もう手に取らない物が自然に分かれていきます。今年の贈り物の答えは、統計の平均よりも、その棚の前で見つかるはずです。
統計と各機関の案内は、2026年11月1日に確認しました。