来年も着られるかは、今の身長に7cmほど足すと見当がつきます。3〜4歳の1年の伸びが平均で約7cm、5〜8歳なら約6cm。実際の伸びは子どもによって違い、これは平均からの目安です。足した数字が服のサイズの範囲に収まれば来年の候補で、はみ出す服は今年で区切りをつけて構いません。
「まだ着られるかも」で全部しまっておくのは、どの家にもあることです。環境省が2023年について推計した数字では、持っている服の45%が使われずにしまい込まれたまま。子ども服に限った数字ではありませんが、迷うのは珍しいことではなさそうです。
年齢ではなく、今の身長で見る
「もう3歳だから100」と年齢で考えたくなりますが、子ども服の数字は身長を表します。衣料サイズのJISでは、乳幼児用の「100」は身長100cmの子に合わせた呼び方です。少年用と少女用も、1980年の解説では身長を第一の基準に置いていました。1
同じ年齢でも、身長はかなり違います。こども家庭庁の令和5年の調査で3歳前半の男の子を見ると、低いほうから3%にあたる子が87.8cm、97%にあたる子が100.8cmで、開きは13.0cm。女の子も86.8cmから99.7cmまで、12.9cmの開きがあります。
サイズ1つ分より大きな差です。だから、年齢だけでは決められません。
表記の数字は、どこまでの身長を指すのでしょうか。JISでは、表記の上下に、となりの数字までの刻みの半分ずつをとった幅が範囲です。2023年3月に改正された規格を解説した論文では、「100」の例に身長97.5〜102.5cmが挙がっています。乳幼児用の表は70以上が5cm刻みなので、上下が2.5cmずつです。少年用と少女用は、1980年の解説によると90を起点にした10cm刻みの表が主でした。2 100、110、120と10cmずつ上がる服なら、同じ考え方で上下5cmずつ。つまり110なら105〜115cmが目安です。
もっとも、JISは任意の規格で、すべての服がこの通りとは限りません。メーカーのサイズ表があれば、そちらを優先してください。
1年で伸びる長さは、年齢で変わる
各欄の左の数字が平均身長(cm)、+は次の年までに伸びる長さです。+は編集部が平均どうしを引き算した値で、同じ子を1年追いかけた数字ではありません。「前半」は満年齢の0〜5か月を指します。
年齢
男子
女子
1歳前半
76.2 +10.1
75.1 +10.3
2歳前半
86.3 +8.0
85.4 +7.8
3歳前半
94.3 +6.9
93.2 +7.2
4歳前半
101.2 +6.9
100.4 +7.2
5歳前半
108.1 +6.4
107.6 +6.3
6歳前半
114.5
113.9
年長(5歳)
110.4 +6.2
109.5 +6.1
小1(6歳)
116.6 +6.1
115.6 +6.0
小2(7歳)
122.7 +5.6
121.6 +5.9
小3(8歳)
128.3 +5.7
127.5 +6.3
小4(9歳)
134.0 +5.5
133.8 +7.1
小5(10歳)
139.5 +6.6
140.9 +6.5
小6(11歳)
146.1 +7.7
147.4 +5.0
中1(12歳)
153.8
152.4
6歳前半まではこども家庭庁が令和5年に、年長からは文部科学省が令和7年度に調べた数字です。年長以降の年齢は4月1日時点で、調べ方も時期も違うため、2つをつなげては読めません。6歳前半より小1が2cmほど高いのも、小1には満6歳0か月から11か月までの子が入るためでしょう。
まず今の年齢の行で、+の数字を見てください。低学年まではどの年も男女とも6cm前後なのに、高学年に入ると様子が変わります。女の子は小4から小5で7.1cm、男の子は小6から中1で7.7cmと、山の来る時期がずれるのです。だから、年の近いきょうだいでも、同じ数字を足すと外れることがあります。
もちろん、これは服の見当をつける表で、育ちの良し悪しを見るものではありません。伸びが気になるときは、健診やかかりつけの小児科で相談できます。
足し算で、来年の服を見当づける
計算は足し算が2回だけ。今の身長に1年の伸びを足し、それが「表記+5cm」に収まるかを見ます。
たとえば今102cmの4歳の子と110の服なら、102に7を足して109cm。105〜115cmに収まるので、来年の候補です。同じ110の服でも、今112cmの子なら119cm。来年は小さくなる見込みです。
毎回の計算が面倒なら、次の表で足ります。10cm刻みの服で、今の身長が表記よりどれだけ低ければ来年も範囲に収まるかを計算しました。
今の年齢
1年の伸び
来年の候補
1歳
約10cm
表記より5cm以上低い
2歳
約8cm
表記より3cm以上低い
3〜4歳
約7cm
表記より2cm以上低い
5〜8歳
約6cm
表記より1cm以上低い
9〜11歳
5〜8cm
表記より3cm以上低い
3歳から小3ごろまでは、「今の身長が表記の数字より低い服なら来年も候補 」と覚えておけば、大きくは外れないでしょう。
1〜2歳は事情が違います。80や90の服が5cm刻みの表で作られていると、範囲は上下2.5cmになり、条件がさらに2.5cm厳しくなるからです。今ちょうどの服は、来年にはまず小さいでしょう。この年齢は「同じ子が来年着るか」より「次に着る子がいるか」で考えるほうが早いはずです。乳幼児用の5cm刻みは100まで続くので、3歳の95や100の服でも同じことが起こります。
足すのを1年分にしたのは、来年のシーズンが終わるまで着る前提だからです。ただ、計算はあくまで見当。身長が合っていても、肩や胴まわりがきつくなることはあります。残した服は、来年の衣替えで必ず着てみます。
ここまでの数字と、このあとの分かれ道、当日の段取りを1枚にまとめました。
年齢ごとの身長の伸びとサイズの範囲、残す・譲る・手放すの分かれ道、衣替えの段取りを1枚に 作成: 編集部 / 出典: こども家庭庁・文部科学省の統計をもとに作成
残す、譲る、手放すの分かれ道
迷ったら、次の順に当てはめます。
足した身長が服の範囲に収まるなら、残す。
次に着る予定の子がいるなら、残す。
しみや破れが少なく人に渡せるなら、譲るか売る。
渡せない状態なら、資源回収かごみに出す。
次に着る子がいるなら、同じ足し算を逆向きに使えます。今90cmの2歳の子が110の服を着始めるのは、下限の105cmに届くころ。2歳で約8cm、3歳で約7cm伸びるとすると、ちょうど2年後です。箱に「2年後の冬」と書いておけば、しまったまま忘れることも減るでしょう。
次の子を考えるかどうか、まだ決めていない家庭もあるはずです。そんなときは、枚数より期限で区切ると楽です。「来年の衣替えまで」と決めて、置ける場所の分だけしまい、次に開けたときに考え直せば十分です。
思い出の服は、この流れの外に置いて構いません。入園式の服や、初めて自分で選んだ服。もう着ないと分かっていても残したいなら、それが理由で十分で、枚数の決まりもありません。逆に、たくさん着てくたびれた服をごみに出すのも、よく働いた服の自然な終わり方です。
譲る前に、フードとひもを見る
譲る服で先に見ておきたいのは、しみよりも首まわりです。JIS L 4129は2015年12月にできた規格で、13歳未満が着る服のひもについて、年齢層と体の部位ごとに基準を設けました。札幌市の試買テストの報告によると、7歳未満の服は、頭と首のまわりにひもが付いたデザインそのものが規格で認められていません。7歳以上13歳未満の服も、首の引きひもに端があってはならないとされます。サイズの呼び方でいうと、通常は120までが前者、160までが後者です。3
でも、この規格に強制力はありません 。札幌市の報告によると、適合を示す統一のマークもありません。消費者庁も、おさがりや中古品で規格に合わない服を手にすることがあると注意を促しています。2015年12月より前に作られた服は、そもそも規格ができる前のものです。
フードは規格の本体の対象外で、附属書に注意点があるだけ。7歳の子が木から降りるときにパーカーのフードが引っ掛かり、首が絞まって失神した事故の情報も、消費者庁に届いています。消費者庁は、激しく動き回る場所ではひもやフードがない服を着せるよう呼びかけています。
譲る前に見るところ
首まわりに垂れるひもや、結ぶひもがないか
背中から出るひも、背中で結ぶひもがないか
胸や腰のひもの端が、開いた状態で14cmを超えていないか
ズボンやスカートの裾から、ひもが垂れていないか
フードが付いているか
消費者庁は、家にある服も見直して、危ないひもは外すよう勧めています。外せるひもは外してから渡し、外せないものやフード付きの服は、一言添えると親切です。保育園 などではフードのある服を禁止しているところも多く、相手の園の決まりで着られないこともあります。
断りやすさを先に渡す一言
おさがりの渡し方に決まりはなく、間柄や地域で感じ方の違う慣習です。ありがたい話でも、袋ごと渡されると断りにくいものでしょう。そこで文例 には、先に中身を見せること、断ってよいと書くことを入れました。
声をかけるときの文例
友人に「子どもの服を整理していたら、110の秋冬物が5枚ほど出てきました。よかったら写真を送ります。好みやサイズが合わないことも多いと思うので、『今回はやめておく』で全然かまいません」
子どものいる親族に「120のコートとセーターがあります。合う子がいるか分からないので、写真を見て要るものだけ選んでください。残りはこちらで回収に出すから、気をつかわないでね」
ママ友に「お子さんに合いそうなサイズの服が出てきたので、お聞きしてみます。100のフード付きの上着が2枚あります。園によっては着られないので、必要なければ気にせず流してくださいね」
しみやほつれは、渡す前に文字で伝えておきます。あとから気づくと、相手は言い出しにくいからです。
傷みを先に伝える文例
「洗濯はしてありますが、袖口に薄いしみが1か所、ひざに小さなほつれがあります。フードのひもは外しました。家で着るぶんにならと思いましたが、気になるようでしたら遠慮なく断ってください。受け取ったあとで合わなければ、処分してもらって大丈夫です」
受け取る側も、理由を長く説明しなくて構いません。
回収の決まりは、市区町村で違う
環境省の整理では、服の手放し方は大きく3つ。リユース店やフリマアプリで古着として譲るか売る、資源として地域や店の回収に出す、ごみとして出す、です。案内の順番は、まず他の人に使ってもらえないかを見て、難しければ資源回収へ。
ところが資源回収の決まりは、住んでいる市区町村でかなり違います。4つの市の案内を並べます。
市
出し方
出せない例
三鷹市
透明か半透明の袋に「古着」と表示
汚れ、破れ、濡れたもの
武蔵野市
週1回の「古着」の日に透明か半透明の袋で
落ちない汚れ、使用済みの下着類、帽子
横浜市
地域の資源集団回収に、洗って乾いた状態で
汚れ、破れ、わたの入ったもの
福岡市
回収ボックスに、洗って乾いた状態で
ニット、フリース、ジャージ、ダウン
子ども服で引っかかりやすいのは素材と肌着でしょう。福岡市はジャージもフリースも回収の対象外で、横浜市はわたの入ったものを出せません。肌着は三鷹市なら古着に出せる一方、武蔵野市では靴下やパジャマも含めて、使用済みの下着類は燃やすごみです。
三鷹市や横浜市のように、雨の日は出せない市もあります。環境省も回収方法は各自治体のホームページで調べるよう案内しているので、最初の1回だけ市区町村名と「古着」で検索しておくと、次からは迷いません。
衣替えの日の段取り
子どもに着せる作業だけは、本人がいないと進みません。そこから逆算して時間を決めます。
子どもの身長を測ってメモする。
これからの季節の服を全部出す。
子どもに着せて、袖と股下を見る。
今着る服を、子どもの手が届く場所に戻す。
残りを足し算で「来年」「譲る」「手放す」の山に分ける。
「譲る」の山のフードとひもを見る。
しまう季節の服を洗って、よく乾かす。
来年の箱にサイズと今の身長を書く。
譲る相手に連絡する。
全部を1日で終えなくても構いません。手順4の置き場所は、共働きの朝の支度を時短する段取り で書いたように、着替えを1日分ずつ手の届く高さにしておくと、前の晩にそろえる手間も小さくなります。
しまうときのこと
さいたま市の案内では、食べ物や汗が付いた衣類は虫に食べられやすいので、長くしまう前に洗濯します。ときどきの虫干しと、収納の中の毛くずの掃除も予防に挙がっています。防虫剤を使うなら、種類の違うものを混ぜないこと。製品評価技術基盤機構の資料によると、溶けた液がしみや変色の原因になることがあります。東京都も表示の決まりで、防虫剤に「幼児の手のとどく所に置かないでください」の注意を書くよう求めています。
衣替えも、名もなき家事です。家族で分担するなら、家事分担の話し合い方 にあるように、測るところから連絡までをひとまとめにして持つと、途中で山が残りにくくなります。
来年の秋に箱を開けたら、書いておいた身長と今の身長を見比べてみてください。数字の差は、そのまま1年分の成長の記録です。服が小さくなっていたら、次の子か次の家へ渡す番が来ただけのことです。
身長の統計 と各機関の案内は、2026年10月31日に確認しました。