6時12分と6時38分。総務省の2021年の社会生活基本調査で、末子が6歳未満の共働き世帯の妻と夫が、平日に起きた平均の時刻です。家を出る平均は妻が8時29分、夫が7時50分でした1。平均の時刻どうしを並べると、朝、家にいる時間は妻のほうが1時間ほど長くなります。
朝を回すこつは、もっと早く起きることではありません。前の晩に半分を済ませ、家に大人が2人いる時間に、残りを分け直すことです。
7時台の家事と育児は、まだ妻に寄っている
同じ調査には、15分ごとに何をしていたかの集計もあります2。末子が6歳未満の共働き世帯で、平日の朝に家事か育児をしていた人の割合を見ると、差ははっきりしています。
| 時刻 |
妻 |
夫 |
| 6時30分 |
36.4% |
6.7% |
| 7時00分 |
42.8% |
8.4% |
| 7時30分 |
46.5% |
7.8% |
| 8時00分 |
42.3% |
7.4% |
7時台の妻は、4割を超える人が家事か育児をしています。中身を分けると、家事は6時45分からの15分(26.2%)、育児は7時30分からの15分(25.6%)が、朝のうちでいちばん多い時間帯でした。夫のほうは、7時台でも1割に届きません。
ただ、これを「夫が手伝わない」とだけ読むのは早いでしょう。7時30分からの15分には、夫の22.8%がすでに通勤中で、24.7%が仕事を始めています。家にいる時間そのものが短いのです。
末子6歳未満の共働き世帯の平日の朝。7時台の家事と育児は妻に寄る作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」
子どもが小学生以上になると、朝の形は少し変わります。末子が6〜17歳の共働き世帯では、育児をしている妻は6時から8時45分までのどの15分でも3%に届きませんが、家事の割合は6時45分からの15分で43.3%と、末子が6歳未満の世帯(26.2%)より高くなります。手が離れても、朝の家事の山は残るようです。
週全体で見ると、6歳未満の子どもがいる夫婦と子どもの世帯(共働きかどうかは問わない)の家事関連時間は、夫が1時間54分、妻が7時間28分でした。5年前より夫は31分増え、差は少しずつ縮んでいます。朝の分担は、その差がまだいちばん目立つところかもしれません。
文部科学省は2006年から「早寝早起き朝ごはん」の国民運動を進めています。企業向けに作ったパンフレットには「子どもの生活習慣は、保護者や学校だけでは改善できません」とあり、保護者が働く会社にも協力を求めました。朝の支度は、ママひとりの段取りの腕だけで回すものではないのです。
前の晩にやること
朝の支度の半分は、前の晩に済ませておけます。最初に決めたいのは、寝る時刻です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、小学生は9〜12時間を参考に睡眠時間を確保するようすすめ、その目安から逆算して寝る時刻を決めるよう書いています。幼児については、1〜2歳で11〜14時間、3〜5歳で10〜13時間という米国睡眠医学会の推奨を紹介しました。たとえば、6時30分に起きる小学生なら、9時間で21時30分です。乳幼児期の睡眠は親の習慣に影響されやすいので、家族ぐるみで早寝早起きを目指すように、ともあります。
そのうえで、寝る前の15分で次のことを済ませておくと、朝に考えることがぐっと減ります。
凝った献立でなくてかまいませんが、朝ごはんは曜日ごとに型を決めておくと迷いません。月曜はおにぎり、火曜はパン、というように主食だけでも決めておけば、前の晩に考えるのは汁物か果物を足すかどうかくらいです。
洗濯機や食洗機も、夜のうちに回しておけば、朝は取り出すだけです。洗濯物を朝に干す家庭なら、乾燥まで夜に済ませるか、干す人を前の晩に決めておく。それだけで、6時45分ごろにくる朝の家事の山を一つ崩せます。
持ち物は「玄関の1か所」に置く
朝のもたつきの多くは、探しものから生まれます。起きてから家を出るまでの動きに沿ってものの置き場所を決めると、探す時間そのものがなくなります。
たとえば、着替えは寝室か洗面所の近くに1日分ずつ。園や学校の持ち物、上着、帽子は玄関の1か所にまとめます。帰ってきたら同じ場所に戻す、と決めておけば、前の晩にそろえる手間も小さくなるはずです。置き場所は、子どもの手が届く高さにしておきましょう。
決めたら一度、子どもと一緒に、起きてから玄関までを歩いてみてください。靴下を探しに戻る、帽子を取りに別の部屋へ行く。足が止まった場所こそ、置き場所を見直す候補です。週末に5分だけ、かごの中身と玄関の定位置を元に戻しておくと、平日の朝が崩れにくくなります。
子どもが自分で動ける仕組みを作る
保育所保育指針は、1歳以上3歳未満の子どもについて「保育士等の助けを借りながら、衣類の着脱を自分でしようとする」ことを保育の内容に挙げています。3歳以上では「身の回りを清潔にし、衣服の着脱、食事、排泄などの生活に必要な活動を自分でする」。幼稚園教育要領にも、同じ一文があります。
つまり、園ではもう、着替えを自分でする練習が始まっているわけです。家の朝にも、同じ流れを作れます。
| 年齢 |
指針などにある目安 |
家の朝の仕組み |
| 1〜2歳 |
助けを借りながら、自分で着ようとする |
上下と靴下を1つのかごにまとめ、着る順に重ねる |
| 3〜5歳 |
衣服の着脱を自分でする |
朝のやることを絵カードで貼り、済んだら裏返す |
| 小学生 |
寝る時刻を自分で調整する子が増える |
時間割と持ち物そろえを、前の晩の本人の仕事にする |
表の真ん中の列は保育所保育指針と睡眠ガイドにある目安で、右の列は、園での練習を家の朝にもつなげる工夫として考えたものです。
見える化のボードは文字で書いてもよいのですが、字が読めない年齢なら絵で十分です。着替え、朝ごはん、歯みがき、トイレ、くつ。並びを毎朝同じにすると、子どもは次に何をするかを自分で見に行くようになります。親が何度も声をかけずに済むのは、正直ありがたいものです。
時計が読めない年齢なら、アナログ時計の文字盤に小さなシールを貼り、「長い針がここに来たら靴をはく」と決める方法もあります。数字は読めなくても、針とシールが重なったかどうかなら分かります。
朝の分担は、家にいる時刻で切る
夫婦の分担は家事の種類より、時刻で分けるほうが朝には合います。先に家を出る人は前の晩と起きてすぐの時間を、あとに出る人は出発前の仕上げと送りを受け持つ形です。
家を出る順番で分ける、前の晩と朝の分担表の一例作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局・厚生労働省
7時台の前半は、2人とも家にいる、いちばん大事な時間です。ここで子どもを起こす人と朝ごはんを並べる人を分けておけば、片方だけが家の中を走り回る朝にはなりません。
頼むときは、家事の名前より時刻で伝えるのがこつです。「朝を手伝って」では、何をすればいいのか相手も分かりませんよね。
子どもが小学生になると、子どもが先に家を出る家庭も出てきます。末子が6〜8歳の共働き世帯では、妻が家を出る平均は8時37分で、末子が6歳未満の世帯より8分遅い時刻です。子どもが先に登校する家庭では、見送りを誰が受け持つか、鍵の閉め忘れを誰が見るかを、入学の前に決めておくと安心です。
遅れた朝の最小限の手順
それでも、子どもが起きない朝や、着替えで泣く朝はあります。そんな日は、やることを3つに絞ります。
- 園や学校に、決められた方法で遅れる連絡を入れる。
- 着替えとトイレと持ち物の3つだけを済ませる。
- 自分の職場にも、遅れる時刻を連絡する。
朝ごはんは、用意してあるものを座って食べられる分だけで十分でしょう。崩れた朝の分は、その晩の15分で取り戻せます。
6時12分と6時38分の差は、目覚ましを26分ずらすだけでは埋まりません。前の晩と7時台を、家族で分け直す。朝が変わるのは、そこからです。
統計は2021年の調査(2022年8月公表)で、ガイドや指針は2026年10月30日に各省庁の公式サイトで確認しました。