6歳未満の子どもがいる共働きの夫婦では、家事や育児、買い物などに使う時間が、1日平均で妻は6時間31分、夫は1時間54分です。総務省が2021年に行った社会生活基本調査の数字で、差は4時間37分あります。ところが睡眠の長さを並べると、夫婦の差は5分しかありません。
差はどこに出ていて、子どもの年齢でどう変わり、なぜ縮まりにくいのか。数字を順にたどると、わが家の分担を話し合うときの材料が見えてきます。
共働き夫婦の1日を並べると、睡眠はほぼ同じ
社会生活基本調査は、総務省統計局が5年ごとに行っている調査です。2021年は10月の連続する2日間について、10歳以上の人が15分ごとに何をしていたかを記録しました。数字はいちばん下の子(末子)が6歳未満の共働き夫婦のもので、平日と土日をならした「週全体の1日平均」です。1
| 1日の時間 |
夫 |
妻 |
| 睡眠 |
7時間50分 |
7時間55分 |
| 仕事 |
7時間21分 |
3時間34分 |
| 通勤 |
48分 |
29分 |
| 家事 |
33分 |
2時間36分 |
| 育児 |
1時間3分 |
3時間23分 |
| 買い物 |
17分 |
29分 |
| 家事関連の合計 |
1時間54分 |
6時間31分 |
| 自由に使える時間 |
3時間27分 |
2時間48分 |
家事関連の合計は、家事と育児、買い物に、介護と看護(夫1分、妻3分)を足したもの。自由に使える時間には、調査が「3次活動」と呼ぶ、休養やテレビ、趣味、人づきあいなどが入ります。
末子が6歳未満の共働き夫婦の1日。睡眠はほぼ同じで、差は家事と育児、自由な時間に出る作成: 編集部 / 出典: 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」第32-1表、内閣府「男女共同参画白書 令和5年版」
まず目に入るのは、仕事と家事関連の入れ替わりでしょう。夫は仕事が妻より3時間47分長く、妻は家事関連が夫より4時間37分長い。ここだけなら、役割を分け合っているようにも見えます。
ところが、仕事や通勤、家事など「社会生活を営む上で義務的な性格の強い活動」をまとめると、景色が変わります。調査が「2次活動」と呼ぶこの時間は、夫が10時間5分、妻が10時間37分で、妻のほうが32分長いのです。そのしわ寄せは自由に使える時間に出ていて、妻は夫より39分短い2時間48分でした。
睡眠がほぼ同じなのは、正直なところ意外でした。差が出ているのは眠る時間ではなく、休んだり好きなことをしたりする時間のほうです。
数字を読むときに一つ気をつけたいのは、「ながら」の扱いです。この調査では、同じ時間に2つのことをしたときは、主なもの1つだけを記録します。2子どもを見ながら夕食を作る、洗濯物をたたみながら宿題を見る。つまり、こうした時間は片方しか数に入らないので、実感より小さめに出ているのかもしれません。
夫の家事関連時間は、妻が無業の家庭とほぼ同じ
夫が働き、妻は仕事をしていない「妻が無業」の家庭と比べると、もう一つの特徴が見えてきます。6歳未満の子がいる家庭で夫の家事関連時間を見ると、共働きで1時間54分、妻が無業で1時間48分。違いは6分です。
妻の側では、共働きで6時間31分、妻が無業だと9時間27分で、2時間56分の開きがあります。妻が働いている家庭でも、その分の家事や育児が夫の側に回っているわけではない、ということです。短い分の多くは保育園などに預けている時間や、手間を省いた分なのでしょう。もっとも、調査から内訳までは読み取れません。
内閣府の男女共同参画白書(令和5年版)が同じ調査から計算した妻の分担割合は、妻が無業の家庭で84.0%、共働きの家庭でも77.4%でした。
5年前からの変化はあります。共働きの夫の家事関連時間は、2016年の82分から2021年の114分へ、5年で32分増えました。妻の分担割合も、81.7%から77.4%へ。ただ、同じ5年で妻の時間も365分から391分に増えていて、夫が増やした分だけ妻の負担が軽くなった、とは言いにくい形です。
子どもが大きくなると、妻の分担割合はむしろ上がる
いちばん下の子の年齢ごとに、共働き夫婦の家事関連時間を並べました。
| 末子の年齢 |
夫 |
妻 |
| 0歳 |
2時間19分 |
10時間14分 |
| 1〜2歳 |
2時間18分 |
6時間22分 |
| 3〜5歳 |
1時間26分 |
5時間18分 |
| 6〜8歳 |
59分 |
4時間34分 |
| 9〜11歳 |
48分 |
4時間31分 |
子どもが育つにつれて夫婦どちらの時間も減っていきますが、気になるのは減り方の違いです。白書と同じ式で妻の分担割合を計算してみると、1〜2歳の73.5%がいちばん低く、3〜5歳で78.7%、6〜8歳で82.3%、9〜11歳では85.0%まで上がりました。
理由は内訳にあります。夫の家事関連時間の多くは育児で、いちばん下の子が0歳のときの1時間36分から、9〜11歳では5分まで減ります。育児を除いた家事は、夫が25〜40分ほどでほぼ横ばい。一方で妻の家事は、2時間19分から3時間30分へ増えていきます。子どもの手が離れても残る食事や洗濯、持ち物の準備は、妻の側に残りやすいのです。
0歳の行で妻の仕事時間が1日32分と短いのは、育児休業中の人も「有業」として数えているためです。3育休中の家庭が多く入った数字として読むと、実感に近いでしょう。
小学生の親にとっては、ここが見落としやすいところかもしれません。送り迎えや寝かしつけが減ると、家のこと全体が軽くなったように感じがちです。けれど数字の上では、妻が担う割合は乳幼児の時期より高くなっていました。分担を一度決めた家庭も、子どもが小学校に上がるころに見直してみる価値はありそうです。
共働き世帯は40年でどれだけ増えたか
共働きは、もう少数派ではありません。内閣府の男女共同参画白書(令和8年版)によると、妻が64歳以下の世帯のうち、夫婦ともに雇われて働く「雇用者の共働き世帯」は2025年に1,254万世帯でした。夫が雇われて働き、妻が無業の「専業主婦世帯」358万世帯の3.5倍です。
| 年 |
共働き世帯 |
専業主婦世帯 |
| 1985年 |
718万 |
936万 |
| 2010年 |
986万 |
737万 |
| 2015年 |
1,075万 |
602万 |
| 2020年 |
1,180万 |
466万 |
| 2025年 |
1,254万 |
358万 |
共働き世帯と専業主婦世帯の推移(妻が64歳以下)。2025年は1,254万と358万作成: 編集部 / 出典: 内閣府「男女共同参画白書 令和8年版」(総務省「労働力調査」をもとに作成)
1985年には専業主婦世帯のほうが多かったのに、40年の間に入れ替わり、差は今も開き続けています。2020年から2025年の5年間でも、共働き世帯は6.3%増え、専業主婦世帯は23.2%減りました。
ただし、共働きといっても中身はひと通りではありません。2025年の共働き世帯のうち、妻が週35時間以上働くフルタイムは542万世帯、週35時間未満のパートタイムは712万世帯で、パートタイムが半数を超えます。先ほどの表で妻の仕事時間が1日3時間34分だったのも、パートタイムや育休中の人、土日を含めた平均だからです。
この推移は、総務省の労働力調査をもとにした値です。長い流れを見るには便利ですが、途中で調べ方が変わっているため、細かな年ごとの比較には注意が要ります。4自営業の家庭は入っていません。
なぜ差が縮まりにくいのか
まず、平日の時間の取り合いがあります。いちばん下の子が6歳未満の共働き夫婦の平日を見ると、夫は仕事が9時間5分、通勤が1時間で、合わせて10時間を超えます。妻は仕事と通勤を合わせて5時間14分。平日の家事関連時間は、夫が1時間16分、妻が6時間15分でした。
白書(令和5年版)が示す平日の平均時刻にも、同じ形が見えます。いちばん下の子が6歳未満で、妻がフルタイムで働く共働き世帯でも、夫の帰宅は平均19時34分、妻は17時46分。妻が夕食を食べ始める平均時刻は19時03分で、夫の帰宅より前です。夕方の家事と育児が、先に帰った人に集まっていくのは自然な流れでしょう。
次に、働き方の前提です。白書は、仕事の時間が男性、家事の時間が女性に偏る背景について、「高度成長期に確立された、長時間労働や転勤等を当然とする働き方を前提とした雇用慣行の存在の影響もあると考えられる」と書いています。夫が家事の時間を増やそうとしても、職場の時間が変わらなければ、増やせる幅には限りがあります。
そして、平日と週末の差も見逃せません。同じ共働き夫婦の日曜日を見ると、夫の家事関連時間は3時間40分と、平日の3倍近くになります。妻は7時間18分でした。夫が家のことをしないというより、平日に家にいる時間が短い。数字の並びからは、そうした面も読み取れます。
わが家の数字を並べてみる手順
もちろん、調査の数字は全国の平均です。わが家と違っていて当然で、違うこと自体に良し悪しはありません。使い道は、夫婦が同じものを見ながら話すための物差しにすることです。
- ふつうの平日を1日選ぶ。
- 夫婦それぞれが、起きてから寝るまでを15分ごとに書き出す。
- 家事と育児、買い物の時間を合計する。
- 調査の平日の数字(いちばん下の子が6歳未満なら、夫1時間16分、妻6時間15分)と並べる。
- 合計の差より先に、夕方の18〜20時にだれが何をしているかを見る。
- 移せそうな家事を1つ選び、担当を最初から最後まで移す。
5で夕方を見るのは、差が出やすい時間帯だからです。帰宅の時刻はすぐには変えられなくても、朝や週末に回せる家事はあります。日用品の注文、園や学校の書類、週末の下ごしらえ。時間を選べるこうした家事を、帰りが遅いほうがまとめて持つだけでも、夕方は少し軽くなります。
担当の分け方や頼むときの言い方は、家事分担の話し合い方 名もなき家事の書き出しと頼み方の文例に、文例つきで載せました。
4時間37分という差は、だれかを責めるための数字ではありません。2人とも時間が足りない中で、どこに偏りが出やすいかを教えてくれる目印です。次の社会生活基本調査は2026年10月に行われました。新しい結果が出たら、この記事の数字も入れ替えます。
数字は2026年10月30日に確認しました。