電池の切れたおもちゃを1つ手にして、ごみ袋の前で考え込んでしまう。もう何か月も遊んでいないのに、捨てたら泣くかもしれないし、そもそも何ごみなのかも分かりません。そんなときは箱ごと片づけようとせず、1つずつ「残す」「保留」「譲る」「捨てる」の4つに分けると進みます。
進め方は家庭で違いますが、一般的には1〜2歳なら親が動き、3〜5歳なら本人に選んでもらいます。捨てる分は電池、素材、大きさの順に見れば、出し方までたどり着けます。
棚に入る分を決めてから分ける
棚やかごを買い足す前に、今ある入れ物に入る分を上限にします。入れ物が増えると、減らす理由もなくなるからです。
どれだけ残せばよいかに、正解はありません。リビングの棚1段の家もあれば、部屋の一角をまるごと遊び場にする家もあるでしょう。数より、「ここに入る分まで」と家の中で線を引いておくと、あふれた分が目に見えてきます。棚のどの高さに何を置くかは、子どものクリスマスプレゼント、0歳から小学生まで年齢別の選び方と予算の最後の節が手がかりになります。
上限が決まったら、入れ物を4つ用意します。段ボールでも紙袋でも構いません。1つ手に取るたびの問いかけは、次の3つ。
- 最近遊んだか、思い出がある物か。そうなら「残す」。
- 手放すと決められるか。迷うなら「保留」。
- 壊れや欠けがなく、人に渡せるか。渡せるなら「譲る」、渡せないなら「捨てる」。
この順番には理由があります。いちばん手間のかかる「人に渡せるか」の確認を、手放すと決めた物だけで済ませるためです。「最近」の目安はこの1か月ほど。ただ、好きな物が季節で変わる子もいるので、厳密でなくて構いません。
思い出の物は、上限の外に置きます。初めて自分で選んだ物や、一緒に寝ていたぬいぐるみは、遊ばなくなっても残す理由になります。
3つの問いの先と、捨てるときに見る順番は、次の1枚で見渡せます。
1つのおもちゃを4つの箱に分ける流れと、捨てるときに見る電池、素材、大きさの順番を1枚に作成: 編集部 / 出典: 札幌市・横浜市・杉並区・京都市・大阪市・消費者庁・経済産業省の案内をもとに作成
1〜2歳は親がいったん見えない所へ
保育所保育指針では、1歳以上3歳未満の時期に「自分の物と人の物の区別」の感覚が育つとされています。厚生労働省の解説によると、この時期には「自分の物」という意識がはっきりしてきて、先に遊んでいたおもちゃを取り返そうとする姿も見られるそうです。
だから、手放す話をしたとたんに離さなくなるのは、育ちの中で自然なこと。話し合って決めるには、少し早い時期でしょう。
そこで一般的には、親が保留の箱に移して、探さないかをしばらく見ます。子どもが遊んでいない時間に、数個ずつで十分です。探したら戻せばよいだけで、失敗でも何でもありません。
どのくらい待つかは家庭しだい。目安がないと箱だけが増えるので、1か月と決めておくと楽でしょう。
3〜5歳は本人に選んでもらう
保育所保育指針の3歳以上の内容には、「身近な物を大切にする」や「自分たちで生活の場を整えながら見通しをもって行動する」が並びます。保育の指針で家庭の決まりではありませんが、「棚に入る分まで」という話が通じやすくなる時期でしょう。
とはいえ、全部の中から選ぶのは大人でも大変なもの。親が2〜3個に絞って見せ、どれにするかを本人が決める形なら、進めやすくなります。
本人が「全部いる」と言う日もあります。そんな日はやめて構いません。片づけは、機嫌のよい日に5分だけでも十分でしょう。
年長のころになると、母子健康手帳の6歳の問いに「約束やルールを守って遊べますか」が出てきます。そこで「棚に入る分だけ」を本人との約束にして、何を残すかは任せてみる。ここまでの年齢はあくまで目安で、進み方には子どもごとに幅があります。
保留の箱には開ける日を書く
決めきれない物を受け止めるのが、保留の箱です。迷いをいったん先送りできるだけで、片づけはずいぶん進みます。
箱は1つだけにして、次に開ける日を側面にメモしておきます。誕生日でも衣替えの日でも構いません。しまう場所は子どもの目に入らない所。開けた日に本人が遊び始めたら棚へ戻し、手に取らなければ、そのとき譲るか捨てるかを決めます。
入れる前に、外せる電池は抜いておきましょう。消費者庁と国民生活センターは、使わなくなった子どものおもちゃなどに電池を入れたままにすると、液漏れのおそれがあると注意を呼びかけています。アルカリ乾電池から漏れた液は強いアルカリ性で、皮膚に付いたり目に入ったりすると障害のおそれがあります。触れたときはすぐに大量の水で洗い流し、必要に応じて医師の診断を受けるよう案内されています。
上の子のおもちゃを残すときは、しまう場所にも気を配りたいところです。こども家庭庁のハンドブックは、年上の子のおもちゃには小さな部品が含まれていることがあるとして、対象年齢になるまで手の届かない所に保管するよう勧めています。
捨てるときは電池から見る
何ごみかを調べる前に、まず電池から。ふたを開けて、種類を確かめます。
| 電池 |
外すとき |
出し方の例 |
| 乾電池 |
スイッチを切って抜き、端子にテープ |
横浜市は電池類、大阪市は回収ボックス |
| ボタン電池 |
抜いたら端子にテープ |
横浜市は電池類、大阪市は協力店の回収缶 |
| 充電式 |
外せる物だけ外す |
横浜市は電池類、札幌市は回収拠点 |
同じボタン電池の仲間でも、型番がCRやBRで始まるコイン形は、大阪市では普通ごみです。外した電池は、種類を問わず子どもの手の届かない所へ。こども家庭庁のハンドブックでは、電池を飲み込んだかもしれないときは症状がなくても急いで受診する扱いです。迷ったら医療機関か子ども医療電話相談(#8000)へ。
いちばん気をつけたいのは充電式でしょう。札幌市のリチウムイオン電池の案内には、携帯ゲーム機や電動式おもちゃの名前も並びます。充電できる製品や、コンセントにつながなくても動いたり光ったりする製品には、使われている可能性があるそうです。製品評価技術基盤機構(NITE)は、本体の表示や取扱説明書で確認するよう勧めています。
NITEによると、リチウムイオン電池を使った製品は、押しつぶしたり破断したりすると発火のおそれがあります。環境省の資料では、ごみの収集や処理の場で、この電池が原因と疑われる火災事故等が2024年度に全国で9,923件。2023年度の8,543件から増えました。発煙や発火まで含めると23,068件です。
素材と大きさで出し先が変わる
電池の次は素材。ところが同じおもちゃでも、出し先は住んでいる市区町村で変わります。4つの市区の案内を見比べると、違いがはっきりします。
| 市区 |
電池なしのプラスチック製 |
電池で動く物 |
| 札幌市 |
燃やせるごみ |
燃やせないごみ。小型家電の無料回収にも(充電式は回収が先) |
| 横浜市 |
プラスチックだけならプラスチック資源。ほかは燃やすごみ |
電池を抜いて燃やすごみ。回収ボックスにも |
| 杉並区 |
100%プラスチックなら資源プラスチック |
不燃ごみ |
| 京都市 |
大部分がプラスチックなら資源ごみのプラスチック類 |
小型家電として拠点回収 |
電池で動くおもちゃの出し先は、ごみの日なら燃やせないごみと燃やすごみに分かれ、京都市はごみの日に出せず拠点回収。合わせて3通りです。札幌市と横浜市は回収にも出せます。京都市では、電池を外してもプラスチック類には出せません。
札幌市や横浜市でも回収に出せるのは、電池で動くおもちゃが小型家電リサイクル法の品目だからです。1入る大きさは市で違い、横浜市は投入口が30cm×15cmで長さ30cm未満、札幌市は30cm四方の投入口を通る物、京都市は高さ30cm、幅と奥行き40cm以内の物です。電池を外せる物は外してから持ち込みます。
素材の分け方も同じではありません。杉並区の資源プラスチックは、ねじやゴムなど別の素材が一切付いていない物だけ。札幌市は、金属がばねや留め具くらいなら燃やせるごみです。見た目はプラスチックのおもちゃでも、杉並区ならねじ1本で出し先が変わるわけです。
最後に大きさ。横浜市はプラスチックや木の物なら50cm以上が粗大ごみですが、金属製なら30cm以上です。杉並区と大阪市は30cmを超えるあたりからで、札幌市は指定ごみ袋に入らない物を大型ごみとしています。どの市区も粗大ごみは事前の申し込みが要り、有料です。
分別の決まりは変わります。杉並区も2026年4月にプラスチックの分け方を改めました。だから捨てる前に「市区町村名 おもちゃ ごみ」で検索して、最新の案内を一度見ておくのが確実です。迷ったら、市区町村の窓口に聞けば教えてもらえます。
譲る前にリコール情報を調べる
人に渡す物は、まだ使えるかより先に、回収の対象でないかを見ます。消費者庁のリコール情報サイトなら、カテゴリの「文具・娯楽用品」や特集の「こども向け」で絞り、製品名をキーワードに検索できます。2
消費者庁は、譲り受けて使い始めるときにもリコール情報を確認するよう呼びかけています。渡す側で先に調べておけば、相手の手間が1つ減るわけです。対象と分かったら譲るのはやめて、事業者の案内に従ってください。
NITEに届いた中古品の事故は、2017〜2021年度の5年間で279件。入手方法でいちばん多いのは知人からの譲渡で110件あり、中古品販売店の75件、インターネットの41件を上回ります。家電が中心で、おもちゃの数字ではありません。それでも、知人からもらった品でも事故は起きています。NITEは、渡す側も受け取る側も確認するよう呼びかけています。
店で売る3歳未満向けのおもちゃには、もう1つ決まりがあります。経済産業省のFAQによると、販売する事業者は、新品か中古品かに関わらず、国の基準に合うことを示す子供PSCマークの付いた物しか販売できません。ただし2025年12月25日より前に製造または輸入された物にこの規制は適用されず、マークがなくても販売できます。3
家で使ったおもちゃを友人に譲る場面は、FAQの説明には出てきません。とはいえ、マークは箱だけに付いていることもあるので、箱が残っていれば一緒に渡すと、相手が確かめられます。マークのない古い品なら、消費者庁も参考に挙げている日本玩具協会のSTマークが手がかりになります。
譲るときの声のかけ方は、子ども服の衣替えとサイズアウト 来年着られるかの目安と譲るときの一言の文例の言い回しが使えます。おもちゃなら、足りない部品と電池の有無を一言足しておくと、相手が判断しやすくなります。
売るときも、確認の中身は同じです。個人が家の物を売る場面も、FAQの説明には出てきません。出品の決まりはフリマアプリなどのサービスごとに違うので、先に各サービスの案内を見ておきます。園や児童館への寄付も考えられますが、受け取るかどうかは施設で違います。持って行く前に電話で聞くと、行き違いがありません。
誕生日やクリスマスの前の段取り
新しいおもちゃが増える日から逆算して、2週間ほど前を手放す日にすると余裕が持てます。粗大ごみが出る家は1か月ほど前に。横浜市の案内では受付から収集まで2週間程度、杉並区では2〜3週間程度かかります。
- 手放す日をカレンダーに書く。
- 贈ってくれる人に、今の置き場所の事情を伝える。
- 子どもと4つの箱に分ける。
- 保留の箱に、次に開ける日を書く。
- 大きな物があれば、粗大ごみを申し込む。
- 譲る物のリコール情報を調べ、相手に連絡する。
- 捨てる物の電池を外し、収集日に出す。
12月に手放すなら、年末年始の収集日も市区町村の予定表で見ておきます。
贈ってくれた人からのおもちゃは、手放しにくいものです。でも、たくさん遊んだことを先に伝えておくと、こちらの気持ちは軽くなるでしょう。伝えるかどうかは、相手との間柄で決めてください。
ごみ袋の前で考え込んだ、あの電池の切れたおもちゃ。ふたを開けて電池の種類を見れば、もう半分は片づいたようなものです。次の収集日を確かめるところから、始めてみてください。
各機関と市区の案内は、2026年11月2日に確認しました。