お年玉の金額に、公的な相場はありません。公的な調査で分かるのは子どもが受け取った合計までで、小学校3・4年生なら1万円台という答えが30.5%で最多、という数字です。
だから「1人にいくら」を探し続けるより、親どうしで学年ごとの額を先に決めてしまうほうが、年末の迷いはずっと軽くなります。お正月の玄関で、財布の千円札を数え直さなくて済みます。
調査の数字は全員からの合計
小学生のお年玉の額が分かる公的な資料は、金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査」です。事務局が日本銀行の中に置かれていた機関の調査で、2005年度から5年ごとに続きましたが、新型コロナの影響などもあり、2015年度の第3回が最後になりました。全国290校の5万149人が答えています。
調査票の問いは、お正月にもらった額を全部合わせるといくらか。答えたのは子ども本人です。
| 学年 |
最も多い答え |
割合 |
| 小学1・2年 |
1万円くらい |
24.0% |
| 小学3・4年 |
1万円台 |
30.5% |
| 小学5・6年 |
1万円台 |
26.5% |
| 中学生、高校生 |
1万〜5万円未満 |
どちらも64.7% |
どれも2015年度の答えです。最多でも3割ほどで、2万円以上と答えた子も3・4年生で44.2%、5・6年生で56.7%いました。中学生と高校生は選択肢の幅が広いぶん、割合が高く出ています。
1人分の額に公的な数字はありません。民間の調査では、インテージが2025年11月に5,000人へ聞いた結果があります。お正月に渡す予定の人の答えで最も多かったのは、小学生未満で1〜1,000円、小学校低学年で2,001〜3,000円、高学年と中学生で4,001〜5,000円、高校生で9,001〜1万円でした。親戚や地域で違うので、話し合いのたたき台として見てください。
1人分を何人か足すと、調査の合計に近づきます。5・6年生が祖父母と親戚の4組から3,000円ずつもらえば、合計は1万2,000円。調査の「1万円台」に収まる額です。この「1万円台」を1人分と読むと、包む額を3倍以上に見積もってしまいます。
10年以上前の数字で大丈夫でしょうか。2023年に高校1年生3,000人へ聞いた調査の報告書は、2015年度の中学生の結果と比べて「お年玉の金額にも大きな変化はないとみられる」としています。もらった額の平均は3万2,853円、中央値は3万円でした。比べたのは中学生の額で、小学生の変化はこの調査からは分かりません。
親から渡すかどうかも家ごとに違う
中学生と高校生の調査には、「親」「祖父母」「しんせき」ごとの額もあります。ただ、親戚が何人いても一まとめの答えなので、ここからも1人分は読み取れません。中学生の場合、最も多い答えは祖父母からが1万円以上5万円未満で35.7%、しんせきからが5,000円以上1万円未満で30.3%でした。
親も渡すものと思っている方には、次の数字のほうが目を引くかもしれません。
一緒に住む家の人から「もらっていない」と答えた子は、3・4年生で25.4%、5・6年生で25.1%いました。親に限ると、中学生の20.7%、高校生の20.9%が「もらわなかった」と答えています。親から渡すかどうかも、家ごとに決めてよいことなのです。
もらった子の答えでは、3・4年生は1,000〜2,999円、5・6年生は5,000〜9,999円が最も多くなりました。もらっていない子も含めた全体の中で、それぞれ19.7%と21.8%です。
同じ額でも負担は人数で変わる
額をそろえても、子どもの人数と年齢が違えば、負担はそろいません。
たとえば、子どもが1人の家庭と3人の家庭が、子ども1人あたり3,000円を渡し合うとします。1人の家庭は9,000円渡して3,000円受け取り、3人の家庭はその逆。毎年6,000円の差が生まれます。年齢の差も同じで、上の子が高校生の家と下の子が未就学の家が学年どおりに渡し合うと、片方の負担だけが先に増えていきます。
釣り合わなくても、どちらかが悪いわけではありません。でも、毎年だまって計算し続けるのは疲れますよね。決め方は大きく3つです。
| 決め方 |
向く親戚 |
注意点 |
| 学年ごとに同じ額 |
子どもの人数が近い |
学年の区切りを先に決める |
| 1家庭の合計に上限 |
人数の差が大きい |
子どもが多いほど1人分は減る |
| 子どもどうしはなし |
毎年は会えない |
祖父母の分は別に話す |
多くの親戚に合うのは1行目でしょう。年齢より学年で区切ると、同じ学年のいとこで額が分かれず、早生まれの子がいても迷いません。人数の差が大きいなら、2行目や3行目に切り替えて構いません。お年玉は慣習なので、続ける決まりも、やめる決まりもないからです。
親戚で金額をそろえる進め方
声をかけるのは、きょうだい本人どうしが話しやすいでしょう。パートナーの側の親戚にも渡すなら、パートナーから聞いてもらう形もあります。
親戚で額を決めるメモと、ポチ袋の書き方、三つ折りの手順、現金書留の決まり作成: 編集部 / 出典: 日本郵便・e-Gov法令検索
図の左のメモを、上から順に埋めていきます。額より先に渡す相手の範囲を決めておくと、話が早く進みます。
数字の縁起を気にする人もいるので、4や9のつく額は外しておくと、相談がすんなり進みます。
決めた額は、ずっと守る約束にしなくて構いません。人数や家計が変わる年もあるので、「毎年12月に見直そう」と添えておくと、次に言い出すのも楽になります。
帰省のある家なら、手土産と同じ時期に話すと1回で片づきます。年末年始の義実家への帰省、手土産と手伝いは出発の前に夫婦で決めるの段取りに、お年玉の1行を足すだけです。
ポチ袋に書く名前は2か所
一般的には、表の左上に相手の名前、裏の左下に自分の名前を入れます。名前欄のある袋ならそこへ。まだ漢字が読めない子には、ひらがなで書くと本人が読めます。
お札は三つ折りが一般的で、肖像のある面を内側にして、左、右の順に折ります。袋は表を手前にして、最後に折った右側が見える向きで入れます。四つ折りを縁起が悪いと感じる人もいるため、三つ折りにしておけば無難でしょう。どれも慣習で、地域や家によって違います。
迷いやすいのは「新札」という言葉です。お年玉で言う新札は、折り目のないきれいなお札のこと。2024年7月3日に発行が始まった新しいデザインである必要はありません。日本銀行も、従来のお札は「引き続き、通用します」と案内していて、交換の必要はないとしています。
きれいなお札は、銀行の窓口などで用意できます。手数料や取り扱いは銀行ごとに違い、日本銀行の窓口では両替も新しいお札への交換もできません。12月の前半に済ませておくと、年末に慌てません。
渡す場面は親のいるところで
渡す時期は、一般的には松の内までとされます。1月7日まで、地域によっては15日まで。過ぎたら「遅くなってごめんね」と一言添えれば十分です。
渡し方は、一般的には次の形が無難とされますが、地域や家で違います。
分かれ目は、親が額を知っているかどうかです。知らないままだとお礼の連絡ができず、小さい子なら袋ごとなくしてしまうこともあるでしょう。帰省しない年のお礼の言い方は、年末年始に帰省しないときの伝え方 だれがいつ電話するかと文例にある文例を、家の様子に合わせて使えます。
渡す相手によっては、書き方が変わります。一般的には、お年玉は目上の人から目下の人へ渡すものとされます。上司や先輩のお子さんには「文具料」などと書くか、品物に替える人もいます。自分の親に渡すときは「お年賀」と書くのが一般的です。
会えない年の現金は現金書留で
お年玉の作法はほとんどが慣習ですが、現金を郵便で送るときは法律の決まりがあります。郵便法は、現金を郵便で送るときは書留にするよう定めていて、簡易書留では送れません。1
使うのは現金書留です。郵便局の窓口で現金封筒(売価21円)を買い、ポチ袋ごと入れて差し出します。日本郵便によると、この封筒は「のし袋も入る大きさ」。料金は基本料金に480円が加わり、申し出がなければ補償の上限は1万円です。1万円を超えて入れるなら窓口で額を申し出ます。5,000円増えるごとに11円が上乗せされ、上限は50万円です。
現金書留の手間が重い年は、次に会う日まで預かっておくのも1つの形です。親どうしで「次に会ったときに渡すね」と一言交わしておけば、子どもにも説明しやすくなります。
税金の心配は、ふつうのお年玉なら要らないでしょう。国税庁は、年末年始の贈答で社会通念上相当と認められるものを、贈与税がかからない例に挙げています。子ども1人が1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も要りません。
任せ方は学年で考える
親が預かるか、本人に任せるかにも決まりはありません。2015年度の調査で扱い方を聞くと(複数回答)、最も多いのは銀行や郵便局への貯金で、3・4年生が48.0%、5・6年生が49.4%でした。「家の人にわたす」は3・4年生の45.7%から5・6年生の38.0%へ減り、「自分で持っている」は31.7%から43.1%へ増えます。
気になるのは貯金についての別の答えです。自分の貯金は「あるようだが、家の人がしているのでよくわからない」という子が、3・4年生で23.5%、5・6年生で28.9%いました。
預かるなら、いくらをどこに入れたかを本人と一緒に確かめておくだけで、この「よくわからない」は減らせるはずです。
金融経済教育推進会議がまとめた「金融リテラシー・マップ」では、小学校低学年の目標に「こづかいやお年玉を貯めてみる」が挙がり、中学年は計画的に貯める習慣、高学年は将来の使い道を考えて貯める態度へと進みます。任せ方もこれに沿うと考えやすいはずです。未就学から低学年は親が預かって一部だけ財布に入れ、中学年は使う分と貯める分を本人と決め、高学年からは本人の手元で管理してもらう、といった形です。
とはいえ、急ぐ必要はありません。2023年の調査でも、お年玉をもらった高校1年生の13.4%は「ほぼ全額を保護者に預けている」と答えています。
12月に入る前に1通送っておく
額が決まれば、残りは袋とお札をそろえるだけです。次に決めるのは、きょうだいのだれに、いつ送るか。12月に入る前に1通送って返事を残しておけば、お正月の玄関で財布を開いてから悩むことはなくなります。
調査の数字と郵便料金、税の案内は、2026年11月2日に確認しました。料金は変わることがあるので送る前に郵便局で、額が大きくて税の扱いに迷うときは税務署で確かめてください。